将棋

盤上ゲーム戦争の時代

将棋

ゲーム間戦争の時代

今日は拙著『奨励会 ~将棋プロ棋士への細い道~ (マイナビ新書)』の内容を一部引用して紹介します。

 ゲーム間戦争の時代

どれぐらい多くの人々に遊ばれるか――ということが将棋の命運を握っている。目下のところ、将棋のわかりやすいライバルは「チェス」と「囲碁」だ。ゲーム性は多少異なるが、どちらも知的な盤上ゲームであることに違いはない。
将棋は「盤上ゲーム戦争」において、将棋はチェスや囲碁に比べて大きく出遅れている。盤上ゲーム戦争というのは私が勝手に命名した、世界においてそれぞれの盤上ゲームがどれだけ普及されているかを競う競争のことだ。

チェスについて見てみよう。
今、現在の「盤上ゲーム戦争」においての覇者がチェスであるということに疑いはない。チェスは世界150ヶ国、6億人の人にプレイされているという調査結果がある。ゲームの複雑性においては、チェス、将棋、囲碁の順番に複雑になっていくという話がある。これは単純に可能性局面や選択肢の多さについてのことだ。コンピュータに解析させようとすると、選択肢の多いゲームのほうが難しいというのは当たり前の話である。ゲームの複雑性とゲームの面白さに関係はないし、単純なゲームのトッププレイヤーのほうがレベルが低いなんてことはさらにありえない。有名な作家ですらこの誤謬に陥り、批判を受けた。
私自身は、将棋とチェスについてある程度理解がある。将棋と比べてチェスのほうが早く戦いが起こるので、気が抜けない。一手一手の重要さもチェスのほうが重く感じる。それは可能性数が少ないがゆえに、かなり遠くまで読めてしまうので、一手のミスが致命傷になる確率が高いからなのだろう。
チェス、将棋、囲碁の順番でトッププレイヤーの年齢が若い傾向があるということにはそういう理由があるのかもしれない。

囲碁は中国・韓国という東アジアの人口が多い地帯に普及できたことが大きい。
戦略シミュレーションゲームにおいても、要所を獲ることは重要だ。特に中国において普及したことで、21世紀における囲碁の生き残りは保障されたのではないだろうか。
日本国内においても、プレイヤー人口は将棋のほうが多いはずだが、地域の「将棋道場」と「囲碁サロン」の数を比べると圧倒的に後者の数のほうが多くなる。
話題になるのは将棋のほうが多いけれど、着実に地域制覇を続けているのは囲碁のほうである――ということが言えるかもしれない。

最後に将棋だが、多くの棋士や愛好家による海外普及への努力があることは知っているが、盤上ゲーム戦争に勝てるほどの成功を収めることができていないというのが実情だろう。文化統合が進んでいく21世紀という時代の中で、将棋が「一地域におけるローカルな盤上ゲーム」として力を失っていく可能性は大いにある。
盤上ゲーム戦争において生き残るのは、一番面白いゲームではない。一番、普及したゲームなのだ。Windowsが一時PCにおける覇権を握ったのは、Macより優れているという理由ではなかった。進化論においても、生き残るのは一番優れたものではなく、一番適応したものなのだ。「盤上ゲームといえば〇〇」の〇〇に当てはまると多くの人が思うゲームが盤上ゲーム戦争の勝者となる。
私自身、超長期的スパンにおける将棋の衰退を食い止める妙手はみえていない。日本将棋連盟が打つ大規模な施策も大切だが、21世紀においては将棋ファンの草の根レベルにおける普及活動が重要になるとみている。

引用:『奨励会~将棋プロ棋士への細い道~』(橋本長道/マイナビ新書)p38~41より、太字は今回の引用のために手を加えた

※「盤上ゲーム戦争」は「盤上ゲーム競争」とかのほうが妥当でしょうか。ただ、「戦争」って言葉をチョイスしたほうがキャッチー。
※「チェス、将棋、囲碁の順番でトッププレイヤーの年齢が若い傾向がある」は将棋で藤井聡太が出てきたり、囲碁で仲邑菫さんが出てきたりで確かに言えることじゃなくなってきているかもしれませんね。
※盤上ゲーム以外の娯楽との競争についてはこの次の「将棋は21世紀の日本社会で必須の娯楽に」において言及しています。

サラさん
サラさん
盤上ゲーム同士で戦争をするよりも、自分自身との戦いに勝つほうが大事だよー


↑上の文章が収録されている新書です

最速の詰み上がり図ってどんなだっけ?

ふと「最速の詰み上がり図」ってどんなだっけ?という疑問が頭に浮かびました。この手のネタは『詰将棋パラダイス』などで過去に挙げられているのではないかと思いますが、自分で答えを見つけてみることにしました。

たとえば、有名なのは例の両王手による詰みです。

初手からの手順
▲7六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲5八飛△5四歩▲5五歩△同歩▲同角△6二銀▲3三角成(上図)まで11手、後手玉の詰みで終局。

これは初級者の実戦で登場しそうな局面でもあり、両王手とは何かを学ぶのにうってつけの実戦例として有名です。今、強い人でも初級者時代にこの筋を食らったことがある人も多いでしょう。

これは11手。先後協力して、より早く詰ます手順はないでしょうか?

 

 

僕が見つけたのは9手の手順。


初手からの手順
▲7六歩△3四歩▲3三角不成△4二金▲同角不成△5二玉▲5一角不成△3二銀▲4二金(上図)まで9手、後手の詰みで終局。

角を「不成」で活用するのがポイントですね。

これより早い手順や別解ってあるのかな? この種の問題の基本的な問いになるので、詰パラのバックナンバー漁ったらあるんじゃないかと思います。
今日は自分の頭で考えたところまで書いてみました。

パズル的に将棋を考えるのも面白い!