将棋

『将棋「初段になれるかな」会議』感想

将棋「初段になれるかな」会議 (扶桑社新書)の感想です。(以下、文中「なれるかな会議」と略します)
「なれるかな会議」は2019年1月1日初版発行で、新書版と電子書籍版が出ています。

参考:出版社での「なれるかな会議」のページ

著者は3人!

著者は次のお三方。

著者

高野秀行将棋連盟棋士データベース)・・・・・・プロ棋士。六段。
岡部敬史@okataco)・・・・・・ライター・著述家・編集者。
さくらはな。@kusattamarimo)・・・・・・漫画家。「えりりんの女流棋士の日々」連載中。

高野先生はかつて『これにてよし?―四間飛車vs急戦定跡再点検』という解説本を出版されたことがあります。(「なれるかな会議」p169で言及あり)


「これにて良し?」はアマチュアの方にも優しく書かれた良書でした。当時、谷川浩司先生が非常にロジカルなアプローチでアマチュア向けの書籍を書かれており、谷川・高野という二人の先生の取り組みが強く印象に残っています。

振り飛車と居飛車、どっちがいいの?

「なれるかな会議」では、「初心者には居飛車よりも振り飛車」と書かれています。これはその通りだと思います。

脱初心者するためには、玉を囲ってから攻める――ことを習得していく必要がありますが、相居飛車だと居玉のままの殴り合いになりやすいです。

僕は「居飛車+矢倉」が多かったかな。相手に何をされても、とりあえず矢倉に囲うってやつ。

『ものの歩』の主人公も高校生大会で全試合矢倉を指していましたし、居飛車コースを選ぶならおすすめですね。

手筋とは

「なれるかな会議」では「手筋とは、小さな投資で確実なリターンが見込めるテクニック(p67)」と定義されています。

僕も手筋は大切で、1手3手の詰将棋の次ぐらいに即効性のあるものだと思っています。

「手筋本」に関しては、どの本がいいかまた紹介してみたいです。

「手筋本」は電子書籍(KDP)での充実度はまだ低いので、個人出版を考えておられる方は狙っていって欲しいジャンルです。難しい次の一手じゃなくて、実際に実戦で現れた明快によくなる次の一手問題集がいいですね。

「なれるかな会議」では簡単な手筋を紹介しています。

なぜ「先手よし?」

第7章では高野先生が級位者の悩みや疑問に答えています。

形勢判断に関してついては『形勢判断は「駒の損得」「玉の堅さ」「駒の効率」「手番」の4つの要素を総合的に判断して行っています。』と答えています。

これを厳密化した文章を谷川先生や高野先生が昔著書の中で書かれていた記憶があります。序盤、中盤、終盤でどの要素の優先度が高くなるかなどが表の形でまとまっていたと思うんですよね。駒の損得の点数化というのも画期的でした。
ここらへんを含めてもう一度高野先生に初級者~初段向けの書籍を書いてもらいたいですね。

こういうのは、自分の中で評価値を作って言語化するプロセスなんだと思います。強くなってくるといちいち言語化する必要はなくなっていくのですが、最初のうちはどんどん言語化・意識化していくのがよいでしょう。
特に大人になってからの学習では、論理的に学んでいく方法が効率がよいのだと思います。言語学習と似ているところがあるのです。

初心者~初段までの方におすすめ!

まぁ、当然の話ですが初心者~初段までの方におすすめです。どうやったら強くなれるのだろうか――と悩んでいる方にはよい案内本となるでしょう。

「なれるかな会議」は指導者にも役立つ内容です。指導の場合、相手の方の棋力に合った教え方があります。初段を目指す人に四段五段レベルの人に対するアドバイスをしても仕方ありませんからね。

「なれるかな会議」みたいな本が新書の形で出版されるのはとてもよいことです。さくらはな。さんのイラストもかわいい!こういう良書をもっと出していって欲しいですね。

追記:次作も刊行予定!

著者のお一人である岡部敬史さん(@okataco)からリプライをいただきました。「次作も刊行予定」とのことです! 楽しみにしています。