コラム

勝利の時はきた!今巻二人はルビコンを渡る『変女13巻』


此ノ木よしる先生の『変女~変な女子高生 甘栗千子~ 13 (ヤングアニマルコミックス)』が7月29日発売となりました。

日常的に下ネタを口にする女子高生・千子と、千子の家で住み込みで働く青年・高村の付かず離れずの関係性を描いてきた本作ですが、13巻でついに事態が動きます。いや、動くなんてもんじゃない。ラブコメのルビコンを渡っちゃうんです!

目次と一言内容紹介

#81 互いを焚き付け合う千子と杉田
#82 杉田とリサさんのデート回
#83 高村に勉強を教えてもらう千子
#84 甘栗本、私の童貞回
#85 告白スクランブル
#86 頑張れ流河ちゃん!
#87 勝利の時は来た!

13巻での僕的ベストカット

出典:変女~変な女子高生 甘栗千子~ 13、此ノ木よしる、白泉社、kindle版、p91

今巻はシリーズ全体の山場ということもあり、エモいシーンが多いのですがあえて上のカットを選びました。漫画家さんはいくつかの決めポーズ、決め角度、決め顔を持っています。構図や表情の必殺技ですね。よしる先生は巻を追うごとにこの決め顔のバリエーションが増えていっています。

いや、まじこの表情好きですわ。

#85における僕的妄想

杉田に向かって千子への告白の練習をする高村。


出典:変女~変な女子高生 甘栗千子~ 13、此ノ木よしる、白泉社、kindle版、p98

うぉおおお、好きだっ」「結婚してくれ!

流河は物陰からうっかりその様子を見てしまう。

「杉田くんが亮にぃへの告白を止めてきた理由ってやっぱり……。うわぁあああ。おしあわせにっ!」

高村と杉田が両思いだと勘違いした流河は、ショックでBL道へと走るのだった。

※全部僕の妄想です

漫画家がルビコンを渡るとき

これまでの男性向けラブコメ漫画の王道は、最初にボーイ・ミーツ・ガールがあり、近づいたり離れたりを繰り返しながら、最後に告白し付き合って幕を閉じる――というものでした。たとえば、少年ジャンプでラブコメの連載があればこのパターンですよね。

でも最近、付き合っているところからスタートしたり、途中で付き合い始めるというのも珍しくなくなってきているような気がします。ツイッターでバズるエモいラブコメ漫画とかそういうの多いですよね。

読者が新しい欲望を見つけ、学習し始めた――というところでしょうか。付き合ってからのイチャイチャを見たいんだ!という欲望と、それを楽しくエモく表現する技術の発達の絡み合い。

変女は13巻でついに――っていうのがすごいです。普通はこれでだいたいのことは語り終えてしまって、終幕に向かうのですが、変女の場合ここから始まるんだ!みたいなところがあります。

変女シリーズの巧妙さ

作者の此ノ木よしる先生からは、これまでの作品を見る限り、付き合ってからの男女の関係を描きたい!という欲望がひしひしと伝わってきます。あと、たぶん筋金入りのカップリング主義者。ハーレム的関係性よりも、二者関係を描きたい人。

変女の巧妙なところは、序盤にハーレムもの的にキャラクターを配置しながら、嫌みなくカップリング型に移行していくところなんですよね(この「嫌みなく」ってのが重要!)。最近の男性向けラブコメのヒット作では、主人公がどのヒロインを選ぶのか――に物語の焦点が当てられる傾向にあります。変女でも、高村が千子を選ぶか、流河を選ぶか、りりを選ぶか――みたいな物語形式になるのかな~って思っていたら全然違うところに辿り着きました。

変女は最初の1巻だけ読むともろに男性向けラブコメなのですが、シリーズ全体を通してみれば女性にも受け入れられうる物語なんですよね。だんだんヒロイン視点が増えてきて、13巻ではヒロインの千子やリサ、流河に感情移入して読むことが多いんです。男性キャラのイケメン度も上がっていきますしね。うまく女性層にリーチできればさらなるヒットを狙えそうです。

作者ツイッターに未公開おまけ漫画

サービス精神がすごいっ!!!

 

付き合ってからの二人をよしる先生はどう描いていくのか――。楽しみです!

過去記事:
『変女』の紹介記事を書かせていただきました!
甘栗千子は恋心を隠しきれない!「変女12」